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2014年 11月 16日
現在、馬車道を関内方向から本町通り方向に進むと、県立歴史博物館(撮影当時の正式名称はただの「県立博物館」だった)の手前に、日本興亜馬車道ビルと名付けられた下層階に石積み風の壁をわざとらしく貼り付けたビルがあります。 現在のようにあざとく見苦しく美的センスに欠けるハリボテビルになる以前のこの建物は、弁天通を挟んで隣り合う県立博物館こと横浜正金銀行と兄弟建築と称された(設計者も師弟関係にあったとか)1922年(大正11年)に建てられた3階建ての旧・川崎銀行横浜支店こと日本火災海上保険横浜ビルの重厚な建物と、 ![]() そのウラ、六道の辻側にはL字型をした本館の内側にはまり込むような形で石積み風の倉庫がありました。 ![]() ![]() 赤枠が日本海上火災横浜ビルの本館と倉庫棟 ちなみに"川崎銀行"と言っても、地名の川崎ではなく、戦前財閥のひとつに数えられていた川崎財閥のこと。 とにもかくにもこの建物のことに関しては、ググればごっそり出て来ますので、ご興味のあるムキをそちらをご覧頂くとして、あえて付け加えるとすれば、この建物は取り壊される予定だったものの、あれやこれやスッタモンダの末、1986年(昭和61年)に馬車道側と弁天通側の壁を新築される建物に貼り付ける形で保存(?)することになり、新ビル竣工後は横浜市歴史的建造物の第一号として認定され、あれやこれやの数々の建築関係の賞も受賞されたんだとか。 このことは当時、趣がある戦前のビルが人知れず次から次に取り壊される中で、現状保存以外のもうひとつの方向性を示したのも事実なのですが、それはあくまでも現状保存という大前提があっての話であり、旧生糸検査場や旧商工奨励館、旧横浜地裁のように高層棟にレプリカの旧館を寄りかからせたり、このビルのようにもともとの建物の壁を新築した建物の壁材として利用するという手法はあくまでも緊急避難的な窮余の一策。 現在、横浜市には文化財保護条例、特定景観形成歴史的建造物制度、横浜市認定歴史的建造物という三つの建造物保存に関する制度が存在するようですが、一番目は指定されたら最後、建物の修繕以外は一切手を加えることができなくなるし、二番目は一番目に準ずるものの建築基準法の適用が一部除外され内装の改築が可能になるというだけで、こう言ってはナンなんですが「無いよりはマシ」程度のお話。 そうなると企業は慈善事業をやっているワケではないので、結局のところ新築する建物に元々の建物の部材を一部でも使用してお茶を濁せば歴史的建造物をキレイさっぱり取り壊して収益が見込める高層ビルに建て替えられる三番目を選択するのは当然の成り行き(この件については以前、こちらの記事でも触れましたのでお時間がある方はご一読下さい)。 ![]() (2014年撮影) しかしどんなに元あった建物の部材を利用したり、寸分違わぬ建物を再現したとしても、それはあくまでもレプリカであり、ざっくばらに言えば所詮は偽物、まがい物であり、さらにそのうえガラス張りの高層ビルの低層階の壁に元々あった建物の壁の一部をあざとくく貼り付けただけの建物がはたして「歴史的建造物を保存している」と言えるのでしょうか(横浜市認定歴史的建造物リスト)? 少なくとも私には、バブル期に地方に乱立した欧米の国や町の名前を冠した"なんちゃら村"の作り物の街並みとか、外観を安っぽい洋風建築風にデザインしたいわゆる"ラブホ様式"の公共施設に感じるのと同様の薄っぺらさを感じてしまいます。 とまああれやこれやボヤいてみたところで、結局のところ一番問題なのは、このようなコトにまったく無関心で無頓着な368万の横浜市民なのですが……。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 最後に、現在、旧三井物産横浜支店生糸倉庫を壊して欲しくない人々の会が旧日東倉庫日本大通倉庫こと旧三井物産横浜支店生糸倉庫取り壊しに反対する電子署名を募集しています。 主旨に賛同される方はぜひご協力を!!! ちなみに所有者側は、「本館は保存する」とコメントしているようですが、現実的にはその"保存"の仕方が大問題で、これは私の勝手な推測でしかありませんが、十中八九、旧ストロングビルのようにされてしまうと思います。 それでも現在の制度上では"保存"したことになります。 そもそも横浜市の"保存"の定義がおかしいのですが、「失敗の原因は、過去の成功にある」の例えで遡っていくと横浜市の勘違いの元がこの日本海上火災保険横浜ビルだったような気がします。 *写真はすべて1981~82年に撮影。
by yokohama80s
| 2014-11-16 00:05
| 関内地区
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