2013年 05月 05日
みなとみらい線の馬車道駅を降りて、2番出口から地上に出ると目の前に古めかしいレンガ造りの建物があり、さらに駐車場の真ん中にも古びた倉庫が1棟だけポツンと取り残されたように建っている一角があります。 この二つの建物は、その昔、現在の海保その他の官庁が入っている合同庁舎がまだ「横浜生糸検査場」と呼ばれていた時に、その付帯施設でありもともとは四棟あった「横浜生糸検査場付属生糸織物専用倉庫」のうちのC号倉庫と、1926年(大正15年)に建てられた倉庫事務所(なにやら最近は北仲ブリックと呼ばれているらしい)で、 横浜市の「北仲通北地区再開発」の一環としてなぜかこの二つの建物だけが脈絡なく駐車場にポツン、ポツンと残されています(いちおう「保存」されていることになっているらしい)。 まあそのあたりのことは、コチラを見て頂くとして、撮影当時に時を遡りますと、当時は桜木町駅を出て弁天橋を渡り、大岡川に沿って河口の方に歩いて行くと三管本部が入った今は無き横浜港運総合庁舎に突き当たり、そこを右に折れると 1928年(昭和3年)に建てられた4階建ての「帝蚕ビルディング(↑)」があり、ビルの右手に倉庫への入り口がありました(↓)。 しかし撮影当時は4棟ある倉庫群は上の写真のように辛うじてB号倉庫がチラ見できただけで、その他の倉庫は総合庁舎だ、生糸検査場だ、海岸通団地だ、帝蚕ビルディングだ、万国橋ビルだのにグルッと取り囲まれていて、その全容を見ることはできませんでした。 結局、私が、これらの倉庫を初めて見ることができたのが、2000年頃に何かの用事で生糸検査場跡に建てられた第2合同庁舎に行った時のこと。 「せっかくだから」と、グル~ッと建物内を一周して裏にあった駐車場に行くと真正面にA号倉庫が・・・・・・。 「まだあったんだ」と、一種感動したと同時に、カメラを持参していなかったことを悔やんだ記憶があります。 その後、何があったのか、どういう経緯なのかは存じませんが、帝蚕ビルディングと4棟(昔の地図によると、写真のB号倉庫を同じ造りの倉庫がA~Dの4棟が並び、その奥に旧東邦倉庫のF、H、帝蚕ビルディングの左隣にE号の合計7棟の倉庫群があった)の倉庫と倉庫事務所のうちC号倉庫と倉庫事務所を残してすべて解体され現在のような状態に(一時期、帝蚕ビルディングも残されていたのですが、いつのまにかコソッと取り壊されてしまいました)。 で上記の横浜市のサイトには、「帝蚕倉庫C号を概ねB号の位置に曳家保存」とあり、さらに先日、取り壊された万国橋ビルについても「保存活用の方向性について協議を行う」と記されていますが・・・・・・??? よくよく考えてみるとこうなるのも当然で、歴史的価値のある建物を取り壊して跡地に新しくビルを建てても、新築したビルの外壁に元あった建物の外壁を無理矢理だろうがなんだろうがくっつけちゃえば、横浜市がご丁寧にも横浜市登録歴史的建造物とやらに認定してくれて、さらにありがたいことにあれやこれやの助成金まで出してくれる(横浜市っておっ金持ちぃ~!)となれば、ただでさえ金食い虫の古いビルの使い道や補修方法や補修費用の捻出ににアタマを悩ませるよりも、「さっさとぶっ壊しちゃった方がぜんぜんお得じゃん」となるのは至極当然のお話。 これをざっくばらんに言い直すと、「古いビルの外壁を新しいビルに適当に貼り付ければいいからさぁ金食い虫の小汚いビルなんざぁさっさとぶっ壊して跡地にピッカピカの高層ビルをド~ンとぶっ建てて固定資産税をたんまり払ってちょうだいよ。ちょっとはサービスするからさぁ」と、こういうことを言っている同じ口が言っているワケです。 となれば、そもそも営利を追求することを目的に存在している営利団体(ひらたく言うと企業のこと)が、歴史的価値はあるものの利益を生み出さないで経費ばかりがかさむ古い建物を、わざわざ手間暇費用をかけて保存なんかしますか、という話なワケで、最近になってこんな話が出てくるのも当然で、最終的には行政が所有している建物以外は取り壊される運命にある、と言っても過言では無いと思います。 個人的には、行政が歴史的な建造物の現状保存を促したり、そうすることが企業にとってメリットとなるような環境を作るのではなく、古い建物を取り壊してハリボテ建て替え化を暗に薦めているという点に得も言えぬ違和感を感じるのですが・・・・・・。 *2014年4月5日に写真を二点追加しました。
by yokohama80s
| 2013-05-05 00:04
| 関内地区
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